ポイントカードの仕組みについては、かなり深く学習した時期がありまして、実際にそのような仕組みに、市民活動の中で関わってもいます。それで、ポイントの仕組みは一般にはわかりづらいところもあるので、今回、図書館の運営を民間会社が受託したことにともない、この全国共通のポイントカードを運営する会社が会員証に加盟店共通ポイントカードを導入したということについて、私がわかる範囲で少し仕組みを説明してみたいと思いまして、1年以上もほっぽらかしていたブログを引っ張り出すに至っております。
さて、ポイントカードですが、おおきく2種類あり、ひとつは、一社(一店舗)で使うポイントカードです。これは基本的に、スタンプカードなどと仕組みとしてそれほど違わないと思います。これが電子化されたものと考えていいと思います。
もうひとつが、今回、テーマとなっている加盟店共通のポイントカードです。このような共通ポイントカードの興味深いところは、資本的にはまったく繋がりのない異なる組織が、共通ポイントカードというプラットフォームを介して、顧客情報と、収益の一部を共有する、という点にあります。
そもそもポイントカードのシステムは、顧客が支払った販売代金の中から、ポイント分として一部を積み立て、それを顧客の求めに応じて(つまり「ポイント使います」という顧客の反応に応えて)、引き出して払い戻す、という仕組みに介在することによって、それを仲介するポイント会社に、売り上げの一部が手数料として入る、という仕組みです。
さて、これを前提として、わかりやすくするために、人口2万人の町の半数、つまり1万人が共通ポイントカードを持ち、この「町の半数が持っているポイントカード」というインセンティブによってこの町の小売業がすべて、このポイントカードを導入した、と、仮定で考えてみます。
この1万人が1年間にこの町の加盟店全体で消費する金額を、仮に平均10万円(月に1万円足らず)だとします。すると、単純に、10億が、この共通ポイントカードをプラットフォームとして、この小さな町で消費されたということになります。
さて、この消費にともない、加盟店はそのポイントカードのプラットフォームとなっている会社に対して手数料を支払います。これはクレジットカードと基本的に同じ仕組みで、手数料も、クレジットカードとおおむね同じだと考えていいと思います。内部事情は知りませんが、おおむね3~5パーセント以内の手数料がカード会社に支払われるというのが相場だと思います。
そうしますと、この小さな町での町民の10億の消費にともない、このポイントカード会社に支払われる手数料は、仮にそれを3%だと仮定しますと、 3千万円、ということになります。
ところで、このような加盟店共通ポイントビジネスのキモは、いかに多くの加盟店を獲得しているかという点にあるのですが、その加盟のモチベーションのもとになるのは、もちろん、顧客数であります。仮にこの小さな町の人口の半数を制覇できたとしますと、それは人口の中には子どもも高齢者もいるわけですから、消費に活発な世代を、ほぼ制圧したといってもいいすぎではないと思われます。すると、その町の消費を、加盟店で独占しよう、という動きに、当然、なってきます。加盟店同士でタッグを組み、非加盟店を排除することが可能になるわけですので、ある程度まで制圧されていきますと、これは逆に、入らないとやばい、という雰囲気になるということも、考えられると思います。
そうしますと、徐々に、消費者の消費に占めるこのポイントカード加盟店全体における消費割合というのが増えていくことになるのです。ポイントカードとクレジットカードは連携することが可能なので、すでにクレジットカードで公共料金まで支払うことができるようになってきている状況の中で、 下手をすると、8割とか9割とか、場合によってはそれ以上ということになっても、まったく不思議ではありません。
そうすると、最初は10万だった加盟店での消費が100万になり、200万になっていく。右肩上がりに増えていきます。
さて、先程は人口2万人の町の5割という話でした。
私が済む宇都宮市は、人口が約51万人です。 ということは、×ことの25.5倍。
みなさんの済む地域の人口はどれくらいでしょう。一度、計算してみると面白いかもしれません。
もっとも、地域ごとに分けて考えるのもすでに無意味なのかもしれません。
なぜなら、共通ポイントカードのキモは、まさにそれが地域や資本を越えて全国どこでも共有できるという点にあるのですから。